私は、独身で子供もおらず、子育ての経験もありませんが、
ついこの間、ちょっとだけ母親っぽいことをさせてもらうことができました。
最近よく連絡をとっているRさん。外国籍のシングルファザーです。
日本で暮らす外国人ということで、これまでにもだいぶ苦労をされたようですが、
それに加えて、シングルファザー。そして、今はコロナ。
それで、給付金の申請などのお手伝いで、
ここのところよく連絡をするようになりましたが、
最近は、以下のような、プライベートなことも話せるようになりました。
そんなRさんとの会話で、もれなく出てくるのが息子くんの話です。
外国人のシングルファザーとして本当に頑張っておられると思いますが、大変なこともたくさん。
例えば、息子くんの宿題です。
教科書の音読をチェックしてあげないといけないのですが、
お父さんは息子くんが正しく読んでいるのかどうなのか、分からないのです。
それで、先日、私も一緒に(遠隔で)宿題を見ることを息子くんに申し出ました。
マ:「ねえねえ、先生も一緒に国語の音読の宿題するのはどう?」
息子:「どっちでもいい。」
マ:「そっかー。(嫌なのかな。)もしするなら、お父さんの携帯借りないといけないし、お父さんも忙しいからやめとく?」
息子:「いや、大丈夫だと思う。」
マ:「そう?じゃ、一緒にしてみようか。」
息子:「うん。」
お父さんに教科書の写真を送ってもらい、私はそれを見ながら、
お父さんは台所でお料理を作りながら、音読の宿題を聞きました。
間違ったところを指摘するのは私の役目。
詰まると、「はい、じゃあ最初からもう一度!」というのはお父さんの役目。
3人でとても楽しく音読の宿題ができました。
息子君、今までお父さんと二人でしていたから、
どうも、ちょっとぐらい間違えても気づかないと思って
適当に読み飛ばしていた漢字などもあった様子。
でも、日本人である私に聞かれることで、突っ込まれることを知り、
「待って!答え言わないで!」といって自分で調べていました。すごい!!
わたしも、日本語教師として、
小学生がどんな本を読んでいるのか知ることができて勉強になりました。
けっこう難しいんですね!
それからもう一つ。
先日、息子君がお父さんに何度か「宿題が終わった」という嘘をついたので、
お父さんが怒ってしまいました。
ご飯を準備する以外は、1日口を聞いてあげず、夜になりました。
息子君はとても寂しがっていたそうですが、
「実は僕の方が何十倍も寂しいよ。」と、私に打ち明けてくれました。
「普通お父さんが怒ったら、お母さんが少し優しくしたりするでしょう?でもね、僕は一人だから怒った後すぐ優しくできない。それが大変。」と。
それで、私が母親役というのでしょうか、小芝居に協力することに。
(以下、電話をスピーカーにして会話)
R:「先生、ごめんなさいね。宿題したといったけど本当は全然してなかった。だから、先生が買ってくれたドリルはもう要らない。ごめんなさいね。学校の宿題をしない人が、ほかの勉強する必要ないでしょう?」
マ:「ええ?お父さん、本当ですか?嘘ついたの?それはショックです。前私に勉強したいって言ったから、ドリル買ったんだけど…。そっか、じゃああのドリルはもう要らないんですね。分かりました。残念だな。」
R:「先生本当にごめん。息子のために考えてくれたのに。でも、勉強嫌いだから仕方がない。」
マ:「そうですか。でもね、お父さん、私には勉強したいって言ったんですよ。だから私は信じてます。お願いです。もう一度だけチャンスをくれませんか。」
R:「うーん。じゃあ仕方がない。僕は信用できないけど、マ先生のことは信じるから今回だけ許すかな。でもね、先生、もし次に約束破ったら、僕はもう先生のことも信じられなくなる。だってそうでしょう?先生が信じてくださいってお願いしたから信じるけど、また嘘だったら、先生も嘘ついたってことでしょう?じゃ、その時はもう先生は僕の友達じゃない。先生に連絡するのもやめますけど、それでいい?」
マ:「えええ~!は、はい…。分かりました。でも息子君は頑張ると思うから。」
R:「(小声で)先生、ここまで。もういいよ。ありがとう。」
まだまだ純粋な小学生、最後は大泣きして、信じてくれました。ごめんね。
お父さんのRさんからは 、先日「先生のことを信じるから、僕がいないところで息子に連絡してもいいよ。」と言ってもらいました!
わあい!
それで、最近は息子君と二人だけでチャットをしたりしています。
先日も、最初はお父さんと相談事をしていたのですが、
ちょっと息子君に電話を渡した間に2時間ほど仮眠をとったお父さん。
寝ている間、ずっと二人で話しました。
今小学校で流行っているクイズを出し合ったりしていたらあっという間でした。
目が覚めて起きてきたお父さんが、まだ話している私たちに驚いていました。
こんなことぐらいで、「子育てをしている」とは口が裂けても言えませんが、
それでも、これまでの自分の人生には一度もなかった
「父親と一緒に子供の宿題を聞く」とか
「父親と子供の間に入ってとりなす」とかいった体験をさせてもらえて、とっても幸せでした。
こんな人生も、あったのかな~。