ドイツのドイツ語にはギリシャ語のβにそっくりな「エスツェット」っていうものがあります。
これはssと同じ役割を果たすので、ネットの環境などによりβが打てないときはssを打つことがあります。
また、10年くらい前に、ドイツ語の書き方の規則が変わり、
βで書いていたものの一部をssにすることになりました(例:daβ→dass)。
私は規則が変わったことは知っていましたが、何がssに変わって何がβのままか知りませんでした。
そんな話をスイス人のドイツ語の先生としていたときのこと。
「スイスではβを使わないって知っていましたか?」と先生。
へー!知りません知りません!
「この理由がおかしいんですよ。なんでだと思います?」
さー。検討もつきません。
皆さん、なんでだと思いますか?
正解は、スイスの言語事情と関係があります。
スイスという国は、ドイツ語以外に、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語が公用語に定められている国です。
だから昔、タイプライターを使っていた時代のこと、
スイスのタイプライターには、ドイツ語で使うウムラオト(aやoやuの上に‥がついているもの)やら、フランス語で使う、Cの下にヒゲがついてるような字やらが全部あったのだそうです。
フランス語にもドイツ語にも対応するタイプライターだから、だんだんキーが足りなくなってきてしまいました。
そしてβのキーが作れなくなってしまい、
「えーい、βはssでいいや!」となったのだそうです(笑)
だからドイツのドイツ語ではβで書くべき「非常勤講師」という意味の
auβerordentliche Lehrkraftを
先生は
ausserordentliche Lehrkraft
と書いていらっしゃいました!
(ドイツのドイツ語では、長母音・二重母音の後はβを使う)
おおおおー。
面白い!
あ~スイスに行きたくなってきちゃったあ。