いろんな地域からきた私の学生たちは、
授業そのほかで私と話す以外にも
日本語という共通語を使って、
またはそのほかの言語を使って、
学生同士でコミュニケーションをとっているんですが、
私はそのやりとりを見るのが好きです。
フェイスブックなどを見ていると、
彼ら特有の表現・使い方が存在することが分かります。
たとえば質問の「か」。
「行きますか?」「帰りますか?」などの「か」です。
たとえば、たとえば、こんなやり取り。
A: 今日は暑かったね!
B: そうだね。本当に暑かったね。ところでAさんは、あしたパーティに行くか?
A: うん、行く。Bさんは?
もちろん、意味は通じますね。
「か」は疑問文につけますよ~と習うので、「パーティに行くかどうか」を聞くために「行くか」と書いている。
間違っていません。
でも・・・・。この文脈では、「行くの?」とか「行く?」とか、そういう風に言う人のほうが多くないでしょうか?
でも、学生たちの間でのやりとりで、ときどき目にします。
楽しそうにやっているので、なんだかそこだけを指摘するのもなあ・・・・と思い、そのままにしてるんですけど、
広がっていっているのか、なんだか広範囲で使われている感じがします。
(これでいいのか?日本語教師!)
仕事柄、少々発音が悪くても、ほかの言語と混ざっていても、接続が違っていても、
みんなが話している日本語は結構分かっているつもりです。
なので、事務の方が「せんせ~~~い。助けて~~」といっていらっしゃることもあります。(笑)
でもときどき、???ということもあります。
そんなとき、同じ地域からきた学生や、同じクラスの学生が正しい日本語に”通訳”してくれたりします。(笑)
また、クラスのみーんなが面白い!と思っているのに、私にだけ通じないこともあります。
先日、ある中国人の学生Hさんと話していた時のこと。
Hさんは日本語のレベルとしてはかなり上級で、日本語の語彙も豊富なので、
彼の言っていることが分からなかったということは一度もありません。
先日、そのHさんの親友で、先日帰国したばかりのドイツ人学生Tさんのことを話していた時のこと。
Hさんが「ああ、Tが帰っちゃって、さみしいですよ。」と、Tさんとの思い出話を始めました。
うんうん、同感、と話をしていると、Hさんは懐かしそうにTさんの話を始めました。
「先生、Tがね”××の授業は手伝わない”って言ってました」
えっ?××の授業をなさってる先生はTさんにお手伝いを頼んでいらしたのかな?と、思いました。
Tさんは別にアシスタントではないので、お手伝いをするなんてことないと思っていたけど。
うーん、なんといえばいいのかと思っていたら、Hさんが笑いながら言いました。
「先生今の意味、分かりましたか。Tはね、××の授業は彼には役に立たなかったという意味なんですよ。」
とのこと。
へ?!
「手伝うって、英語でhelpでしょ?で、helplessだから手伝わない。面白いでしょう!」
アハハハ
Hさんは「そういう時は、役に立たないっていうんだよ」と教えてあげたんだそうです。何度も何度も。
でも、Tさんは最後まで「手伝わない」で通したらしく、最後はHさんがそれを受け入れる形に。
Hさんいわく、ほかにも「T語」がたくさん存在していたとのこと。
周りの日本人がみたら、不思議な図だったかもしれません。
よくわからない表現を使っているのに、一方はきちんと受け答えをしてコメントまでしている。
なんともほほえましい風景ではありませんか?