マさんの日記

失敗ばかりする旅好きの私の雑記帳です。海外の方との交流についても書きます。

お会いできて、よかった。

今日は、悲しい話を書きます。とっても悲しいけれど、頑張ろうという話です。
 
 
昨年の夏休み、内モンゴルに遊びに行きました。
 
昨年の春に帰国して行った、モモくんとスモモくん、そして彼らを育てた大草原を見に行くためです。
 
 
 
モンゴルの草原に昔から興味はありましたが、
 
それ以上に、モモとスモモくんという、すばらしい子たちに出会い、一人の人間として、
 
どうすればあんなに懐の深い、大地のような広い心の人ができるんだろうという気持ちが大きく、
 
彼らの故郷がみたいと思いました。
 
 
昨年3月に帰国した後も連絡を取り合い、無事にその8月に内モンゴルへ行ったのはつい半年前。
 
今でも鮮明に、記憶しています。
 
 
 
その後、内モンゴルから戻った後も、モモくんやスモモくんとは頻繁に連絡を取っていました。
 
携帯電話のアプリを使い、音声でメッセージが送れるのです。
 
 
都会っ子のスモモくんとは結構頻繁に連絡が取れるのですが、モモくんのほうは月に1度ぐらいがやっと。
 
それでも、割とよく連絡していたほうだと思います。
 
 
 
ところがある時、モモくんがメッセージをくれていたのに、返事ができないままのときがありました。
 
私もちょっと忙しかったので、そのままにしていました。
 
 
あ、いけない、モモくんに連絡しなくちゃ、と思って連絡したのが今年の1月末ごろだったかな。
 
少し間があいたので、次のようにメッセージを送りました。
 
 
マ: 「元気?久しぶりだね。お父さんも、お母さんも、お兄さんも、お姉さんも、みなさん元気かな。」
 
そうです。モモくんの家族は大家族ですからね。
 
大草原でのことを思い出して微笑んでいた私に、信じられない答えが返ってきました。
 
 
モモ: 「みんな元気。でも、父だけ元気じゃない。日本語でなんというかな・・・とても怖い病気。死ぬ病気だよ。」
 
 
モモくんはある程度日本語ができますが、それでもやっぱり病名などを日本語でいうほどではありません。
 
死ぬ病気と言う割には、声が明るいし、事情がよく飲みこめなかったため、「どういうこと?」と聞き返しました。
 
すると、その間に調べていたようで、「食道ガン」と教えてくれました。
 
いてもたってもいられなくなって、「手術は?入院は?」と矢継ぎ早に質問する私に、モモくんは答えました。
 
 
「父はね、どうしても手術を受けないって。だからいま、モンゴルの薬を飲んでいるの。
これを飲んで治った人もいるからね。でもね、先生たちが会った時の父とは全然違うよ。もうやせてしまった。」
 
 
 
あくまでしっかりした声で話してくれるモモくん。
 
その話を聞いてから、私は毎日毎日、お父さんのことを考えて祈り続けました。
 
 
そうして、中国のお正月(旧正月)を迎えるころ、またモモくんと話すチャンスがありました。
 
彼は前にもまして明るい声で言いました。
 
「今は、お正月の準備をしていて、みんな楽しい感じだよ。先生、体に気を付けてね。」
 
 
ああ、もしかして、お父さまの調子もいいのかな、と思っていたのですが、
 
旧暦で新年を迎えてすぐ、お父さまは亡くなってしまいました。
 
同じ内モンゴル出身の、べつの学生が知らせてくれました。
 
 
 
 
モンゴルの大草原でお会いしてから、たった半年です。
 
 
 
かっこよく馬に乗るお父さま。
携帯電話がなったとき、ボタンを押さずにそのまましゃべろうとしたおちゃめなお父さま。
多くは話されなかったけれど、すばらしいお人柄がにじみ出ていたお父さま。
 
 
 
簡単にすぐ再会できるとは思っていませんでしたが、
 
モモくんの結婚式(未定だけど)には必ず出席する予定だったし、
 
その前にもチャンスがあればぜひまたお会いしに行きたいと思っていました。
 
お会いできなくても、少なくともモモくん経由でお元気であることを聞きたかった・・・・。
 
 
 
お父さまのことを考えると、どうしても涙が止まりません。
 
モモくんに、なんと声をかけたらいいのかも、分かりません。知らせを聞いて、ずっと泣いていたのですが
 
やっと先日、勇気をふりしぼってモモくんと話をしました。
 
すると、以下のような返事が来ました。
 
「悲しいけど、あまり悲しくないよ。残念なだけ。でもね、あの病気は、長い間苦しむ人がいるそうだけど、
父は短い間だったから、よかったと思う。それにね、父がいなくなったら、これから僕が家族の長でしょう。
これから僕も、家族のために頑張らないといけないからね。早く経験することは、いいことだと思う。
だから、これから頑張るよ。先生も、体に気を付けてね。」
 
 
とてもしっかりした声で、モモくんは私に話してくれました。
 
大好きな大好きな父親を亡くして悲しくないはずがないのですが、しっかりした声でそう話してくれました。
 
彼の声を聞くだけでも涙があふれるのですが、
 
モモくんがこんなに頑張ろうとしているのに、私が泣いてばかりいてはいけないと思い、
 
私も、お父さまの死を悲しむのではなく、昨年の夏に出会えたことを喜ぼうと思えるようになってきました。
 
 
まだ、これを書きながらも涙があふれているのですが、
 
昨年の夏、あの大草原でお会いできたのは、きっと、ご縁があったからなのだと思えるようになりました。
 
 
 
モモくんのお父さま、本当に、本当に、お会いできてよかったです。
 
草原では、お世話になりました。
 
これからも、モモくんのことを見守っていてくださいね。
 
本当に、ありがとうございました。